元上司が起こしたイノベーションと失敗

ウッドチップLabの遠藤です。
今回は私の実体験であるイノベーションについて書きたいと思います。
この5年間は私にとって修行の様な日々でありましたが、この時期がないと今の自分は無いと言っても過言ではないような体験でした。
たくさんの方に楽しんで読んでいただけるといいなと思います。

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私が以前勤務していた職場では、営業・現場管理など一人で担う業務が大量にありました。(現在は多少分業されています。)
ザっと並べると・・・
新規顧客開拓営業・既存顧客営業・現場スタッフの勤怠管理・現場の環境改善・新人の採用、指導・クレーム対応など、あらゆることが仕事でした。

そんな中、元上司は「人を辞めさせない管理」をテーマに掲げました。そう、人の入退社は
中でも一番労力がかかる業務なのです。
お金(求人費、面接時の会場費、人件費、研修時の人件費、現場へ通う交通費etc)も時間もかかる。逆に人が辞めなければ、時間も原価も抑えられ、空いた時間は新規物件獲得のための営業が出来る。という一石三鳥くらいの発想でした。

そのためには、まず個々の管理力を上げる必要がありました。
そこで、週1回の部内MTで観察力を磨くための「いい話報告」が実施されました。
(ちょっとダサい名前ですみません。)
これは、自分の担当現場で何か一ついい話を見つけて、部内のMT時に発表するというものでした。

始めて3か月もすると報告の質が変わってきます。
当初   ⇒「私がしたことに対してAさんがお礼を言ってくれて嬉しかったです。」
3か月後 ⇒「Aさんが現場のために○○をしてくれて業務効率が上がりました。」や
      「AさんへBさんが褒めていた事を伝えると、2人の関係が良くなり
       現場全体に活気が出ました。」
など、意識や視点を変えて観察をすると、観察する側にも変化が見られたのでした。

実はこの元上司、この時イノベーションを起こしていたのです。

何がイノベーションだったのか。
その1:気づき
   業界でもニッチというか、大手企業しか手を出していなかった分野に気づき、
   目を付け、社内にその専門事業部を立ち上げました。
その2:社員教育
   その部の社員を自分で集め自己流の教育をしました。(この一環がいい話報告)
その3:チーム力
   個人の力量を見るだけでなく、チーム全体のバランスを見てチームのポテンシャルを
   最大限に活かしました。

少人数でも多くの業務をこなせる力を付ける事で、5~6年の間に約5億円、会社の売上を
伸ばしたのでした。

このパターンは私自身が体験し、当協会やウッドチップLabが社員育成や企業コンサルで提案しているイノベーションの一つです。

誰でもが持っている気づきを磨き、個々の得意分野をチーム単位で活かすことにより、個々のポテンシャルが最大限に活かされる。社員一人ひとりが成長を始めたチームは、成長する喜びや達成感を知る事により、互いに良さを伸ばせるようになります。
それが結果として、確実に会社の売上につながっていく。

社員育成は行えばすぐに結果が付いてくるものではありません。
私が体験したイノベーションも、年単位で時間をかけていただきました。しかし、1年目より2年目、2年目より3年目、間違いなく全員が成長をしていったのです。

話を戻して、この元上司はあることをきっかけに社内の陣取り合戦を始めてしまいます。
その頃、共に頑張ってきた部内のメンバーも移動などでバラバラになっていきます。
歯車が狂いだし、その後元上司が指導する社員が次々に潰れてしまうようになりました。

これを振り返ってみると、原因は3つ。
一つ目は、元上司は常に「人を知る」・「現場を知る」を行っていました。
もちろん「人を辞めさせない管理」には、人と現場を知り現場スタッフとの関係を築くことは必須なのです。
人との関係が大切なのはどの企業も同じだと思います。
なので、「人を知る」「現場を知る」・・・

ではなぜ元上司はこんなにも社員を育てられなかったのでしょか?
自分(元上司)が「人」を知らなかったから? いいえ。人の性格はよく見抜いていました。

それは、教育の入り口を「人」ではなく「自分」から入ることをしていればこのような事は起こらなかったのです。

実は、人が持つ他人や物事への興味度は、自分自身への興味度とだいたい比例します。
自分にあまり興味がない人は、人にもあまり興味を示さないばかりか、物事にもあまり興味がなく、部下にいると思い通りに動いてくれなかったり、思った回答がこなかったりします。

逆に、自分への興味度が高い人は、人や物事への興味度も高く、物事にのめり込むことも出来ます。
なので、まずは自分への理解度を深めることで、人に対する意識も変わるという事なのです。
そうする事で社員同士のベクトルも合わせやすくなります。

さらに、自分を知る事のメリットとしては、人に対して何かアクションを起こすのと違い、
プレッシャーが少なくて済み、いつでも誰でも出来るということがあります。

「人を知る」を迫られた社員達は、気づけなかった内容を「お前のせいだ」(という言い方はしませんが(^^ゞ)そういうプレッシャーを与えられ、結果潰れてしまいました。
とても残念です。
いい社員もたくさんいました。
人には得意・不得意があります。得意分野伸ばしていれば、社内の士気を上げ明るい雰囲気を作ってくれる貴重な社員もいました。

二つ目は、チームでの指導をしなくなったこと。
退職していった社員は、ほぼ個別に指導を受けていました。
チームで動いていた時は、元上司が指導した事に対して、周りの社員がフォローを入れます。
元上司の指導内容は、ものすごく簡単な事を言っているようで難しいのです。

それは、指導されている本人が考えるべき事項が含まれているからなのですが、そこをフォロー(解説)して与えられたミッションを達成させてあげることが、新人や指導を受けている社員を辞めさせないポイントであることは、以前のチームにいたメンバーは知っていました。
なのでフォローをしていたのですが、個別指導になっていくと情報が入ってこないため、私たちもフォローが出来なくなっていきました。

三つ目は、元上司は見る目もあり戦略を立てるのも上手でイノベーションまで起こしたのに、歯車が狂いだしたり問題行動を起こしてしまった。それはメタ認知が低かったのかもしれません。

どういうことか。
メタ認知の高い人は、自分や物事を客観的に見て自分がどこへ(目的・目標)向かっているか、何をしているのかなどを冷静に考え判断することが出来ます。

例えば、自分のポジションを守るためや社長に自分が認められるためなど、目的が「自分の為」になってしまっていたら修正が出来る事がメタ認知の高い人の行動になります。

会社員である以上(そして役職が付いている以上)は、会社の繁栄のために尽力することが求められますからね。

指導一つで大きく変わってしまいます。
このような経験をしてきたので、やはり「メタ認知」を広げたい!!と感じてしまいます。

メタ認知は、自己を通して気づきを得ます。
気づきはメタ認知の「最大のメリット」です。
これで俯瞰力と観察力を刺激していくのです。自分を知り、例えば得意・不得意を認識すると、人に対しても好き嫌いではなく、「この人の得意分野・不得意分野」なのだという理解に変化していきます。
「嫌いな人」が減る瞬間です。
メタ認知を習得する入り口はこれなのです。

メタ認知力をビジネスや地域活性化に活かすチャンスは現在山のように転がっています。
ピンチをチャンスに変えられるキッカケがここにはあります。

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